国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
・・負けていられんな。
マルスは、レアの言葉に頷いた。ふと、レアの首元に目が留まる。
さっきまで気付かなかったが、そこには、ほとんど消えかけの、赤黒い斑点のあざがある。
「これは、この前俺がつけたものか」
マルスは、レアの首筋に手を伸ばして、羽のようにかすかに触れた。
そのほんの一瞬のマルスの指先の刺激に、レアの全身が粟立った。
「大丈夫です。なんともありませんから」
「・・すまない。感情の抑制もできんとは、まるで赤ん坊だな」
マルスの言葉に、レアは思わず吹き出してしまった。
「なんだ?」
「いえ、すみません。なんて大きな赤ん坊だろうと思って・・」
口に出すと、余計におかしくなって、レアはくすくすと笑い出した。
「ふん、今に成長してみせる。そのときは、覚えておけよ」
マルスは、笑われているというのに、なぜか嫌な気持ちがせず、
それどころか、口笛を吹き出しそうなほどの、楽しい気分になる自分が信じられなかった。
レアの笑顔には、精神を安定させる作用がありそうだ、とマルスは去り際に思った。