国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
マルスの去った部屋で、レアは身支度を整えた。
上級巫女の服に袖を通しながら、そっと指先で喉元に触れてみる。
・・なぜかしら。
もっと触れてほしいと思うなんて。
レアは、マルスが握り締めて離さなかった自分の掌に、もう片方の掌を重ねた。
マルスのごつごつとした、大きな掌の熱が思い出される。
・・あぁ。もうだめなのかしら。
レアは、もはや、どうあがいても、自分の心の中からマルスを追い出すことができないのだと悟った。
純潔の誓いを破った巫女・・・。
一瞬、磔にされる自分が想像されて、レアは音が鳴りそうなほど強く頭を振った。
今日も、今までと変わらぬ一日が始まった。
ただ一つ、レアに芽生えた、マルスへの想いだけを除いて。