国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

夏本番といった刺すような陽射しが、容赦なく全ての生き物に襲い掛かっている頃、

重臣会議を終えたばかりの、アニウス大臣は、顔を真っ赤にして、今にも壁を蹴り上げんばかりだった。


「どういたします?アニウス様」


アニウスの周りには、彼に媚びへつらって私腹を肥やしてきた面々が、

渋い表情で彼を取り囲んでいる。


「一体、王に何があったのか。こんなことは初めてだ」


「まったく。たんなる気まぐれではないのか」


「いや、予想以上に粘っておいでだ。本気で政に興味を示されるなど。

これは、やりにくくなりましたな」


顔にシワを刻んだ彼らは、みな、ぶくぶくと太り、文字通り、“私腹”を肥やしているらしい。


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