国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
アニウスは、口々に不満をぶちまける彼らを、一喝するように野太い声を出した。
「今度の増税案は必ず通す。
王も、今回は気まぐれがやや長引いておられるようだが、
私がきちんとご説明するから、みなは、解散してくれ」
「何か、良い策でも?」
「まあ、無きにしも非ず。私に任せて安心していれば良い」
アニウスの自信たっぷりの態度に、みな額にかいた汗を拭いながら安堵の表情を浮かべた。
・・まったく青二才が!
この私に逆らうなど。誰のおかげで王になれたと思っているのだ!
アニウスは、人気のなくなった廊下で、力いっぱい壁を蹴り上げた。
足の指がおかしな風に曲がってあたり、痛みに顔をしかめる。
「くそっ!」
足を引きずりながら、アニウスは、自分の横に控えている従者に大声で命令した。
「おい!私の部屋にシギネアを呼べ!」
「は、しかし、どんな理由で。面会は神官長様の許可が必要ですが」
「私の具合が悪いからと、施薬を頼めばいいだろう!
それくらいの頭も回らないのか!!」
アニウスは、跪いている男の顔を踏みつけるように蹴飛ばした。