国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

アニウスは、口々に不満をぶちまける彼らを、一喝するように野太い声を出した。


「今度の増税案は必ず通す。

王も、今回は気まぐれがやや長引いておられるようだが、

私がきちんとご説明するから、みなは、解散してくれ」


「何か、良い策でも?」


「まあ、無きにしも非ず。私に任せて安心していれば良い」


アニウスの自信たっぷりの態度に、みな額にかいた汗を拭いながら安堵の表情を浮かべた。



・・まったく青二才が!

この私に逆らうなど。誰のおかげで王になれたと思っているのだ!



アニウスは、人気のなくなった廊下で、力いっぱい壁を蹴り上げた。

足の指がおかしな風に曲がってあたり、痛みに顔をしかめる。


「くそっ!」


足を引きずりながら、アニウスは、自分の横に控えている従者に大声で命令した。


「おい!私の部屋にシギネアを呼べ!」


「は、しかし、どんな理由で。面会は神官長様の許可が必要ですが」


「私の具合が悪いからと、施薬を頼めばいいだろう!

それくらいの頭も回らないのか!!」


アニウスは、跪いている男の顔を踏みつけるように蹴飛ばした。





< 240 / 522 >

この作品をシェア

pagetop