国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
手燭の明るさに慣れてきたマリカは、立ち上がってラウススを見下ろした。
「お兄さんは、商人になったのね」
「うん。下働きだけどね。
いつもは数人で来るんだけど、今日は量が少ないから、僕一人で行けって、
先輩たちに仕事を押し付けられたのさ」
マリカの怪我が軽いことに安堵して、ラウススも立ち上がった。
「レア様のことが心配だから、故郷へ帰らなかったの?」
「うん。そうだね。母が亡くなったから、もうあそこにいる必要もなくてね。
だったら、会えなくても、妹の近くにいたほうがいいかなってさ。
何か力になれることがあるかもしれないし」
力になれることがあるなんて、とんだ夢物語だとわかってはいても、
ラウススは、少しでもレアの傍にいてやりたかった。
「マリカはどうしたの?
ここは、商人の通り道だから、巫女は通らないって聞いてたけど、違うのかな?」
ラウススの何気ない一言に、マリカは顔色を変えた。