国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

「あ、あの・・私。男の人と口を聞いたら、ウェスタ神殿を追放されてしまうの。

お願い、今日のことは、誰にも言わないで!」


マリカは、ラウススと目を合わせないまま、逃げるように走り去ると、そのまま闇にとけていった。


マリカの態度に、違和感を感じたものの、自分にはわからない掟に縛られているのだろうと、

ラウススは深く考えずに神殿を後にした。





・・どうしよう。一体いつから見られていたのかしら。



ラウススが下げた手燭がちらちらと揺れながら、ゆっくり遠ざかっていくのを、

マリカは、神殿の柱の影から怯えた瞳で見送った--。






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