国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
睨まれた男は、一瞬たじろいだが、すぐに冷静になって両手を床について、体重をかけた。
「内乱が起きるって噂だぜ」
「内乱?」
「あぁ。なんでも、今の王様ってのが、ものすごい暴君らしくてな。
突然去年の倍近い税を課したとかで、各地の農民や商人たちが団結して、不穏な空気が漂ってるそうだ」
暴君、とロカがポツリとこぼすと、それを耳にした男は、饒舌に話し始めた。
「ウェスタってのは、ろくな国じゃねぇみたいだな。前の王様のあだ名は、確か“狂王”ってんだ。
火をあがめる神殿もあるらしいが、そこにいる巫女ってのが、すっかり堕落してるって話しだしな。
なんでも、その狂王が、神に捧げられた神官を無理やり嫁にして生まれたのが、今の王様なんだと。
神の怒りに触れた国だって、船乗りの間じゃ、もっぱらの噂さ」