国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

扉に耳をつけて、部屋の中の様子をうかがう少女。

ぼそぼそという音が聞こえるだけで、何を話しているのかまでは、聞き取れない。


明日の夜は、ご主人様に呼ばれている。

きっと、二人の関係がどうなっているのかと、詰問されることだろう。


でも。



・・今日のことは、内緒にしておけばわからないよね。



レアに近づくようにとの主人の命令で始めた創世記の暗誦。

それが、こんなに楽しいことだとは知らなかった。


ほんの少しでも、暗誦できれば、レアは我がことのように喜んで褒めちぎってくれる。



自分にも、できる。



それは、少女が物心ついてから、経験したことのない、

自身の未来への可能性という、新たな扉だった。


明日に、という勉強の約束を、適当な理由をつけて断らなくてはならないことが、

少女には何よりも哀しかった。











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