国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

権力という魔物のなせる業か、

それとも、彼自身の弱さのせいなのか。


ひょっとすれば、昔の彼の姿の方が、若さが見せた幻影なのかもしれない。



・・まぁ、なんでもいいか。



なんにせよ、今の彼は、昔の彼ではない。

それどころか、昔の彼が排除しようとしていた部類の人間そのものなのだから。


自分の利益のみを追求して、他者を顧みない、害虫・・いや、害臣か。



・・約束どおり、お前を斬ってやるさ。



男は、遠い昔に交わした、アニウスとの約束のために、

皮肉にも、彼と対峙しなくてはならない運命を辿る事になりそうだと、薄く笑んだ。




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