国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
「すぐに、兵士を集めろ!
王宮への門を閉ざして、守れ。
塀の上から、攻撃できるよう、王宮の周囲を全て固めるんだ。
急げ!」
マルスの命令に、兵士は、はっ!と答えた。
王宮の周囲は、頑丈な石塀に囲まれており、そうそう落とされるものではない。
だが、ここに、こもったとして、はたして何日持つか。
それに、あの黒煙。
マルスは、早足で議場へと向かった。
しかし、もしも予想が正しければ、重臣たちは、おそらく・・・。
「マルス様」
自分から、声をかけることなどめったにないホーエンが、
いつもの“無表情のしかめっ面”で、マルスを見下ろした。
マルスは決して背が低い方ではないが、この王宮一、背の高いホーエンとは、頭ひとつの差がある。
「なんだ。急いでいるから手短に言え」
歩みを止めることなく、マルスは、唸るような声を出した。