国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい



・・まぁ、自業自得なのだろうな。



そう思うと、マルスは悔しくて堪らない気持ちに襲われた。

もう少し、もう少し時間を与えられていれば!

いや、それとも、もう少し早く、レアに出会えてさえいれば!



・・ばかばかしい。



時間を巻き戻すことは、神にだってできやしない。

仮定の話を、いくら大きく広げたところで、現実を変える何の役にも立たない。


全ては、自分のせいなのだ。

他人のせいではなく、マルス・シルウィク自身の。


最後の最後で、あの奔放な父の、わかりにくい愛情を感じられただけでも、幸せではないか。

血のつながりなど、関係ないことだ。

実際、こんなふうに、自分を陥れたのは、間違いなく血の繋がった実の伯父なのだから。


そう、俺は幸せものだ。

人を愛することを知っただけでも。

人に愛されることを知っただけでも。

愛する女の未来を、守ってやることができただけでも・・。








< 404 / 522 >

この作品をシェア

pagetop