国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
・・まぁ、自業自得なのだろうな。
そう思うと、マルスは悔しくて堪らない気持ちに襲われた。
もう少し、もう少し時間を与えられていれば!
いや、それとも、もう少し早く、レアに出会えてさえいれば!
・・ばかばかしい。
時間を巻き戻すことは、神にだってできやしない。
仮定の話を、いくら大きく広げたところで、現実を変える何の役にも立たない。
全ては、自分のせいなのだ。
他人のせいではなく、マルス・シルウィク自身の。
最後の最後で、あの奔放な父の、わかりにくい愛情を感じられただけでも、幸せではないか。
血のつながりなど、関係ないことだ。
実際、こんなふうに、自分を陥れたのは、間違いなく血の繋がった実の伯父なのだから。
そう、俺は幸せものだ。
人を愛することを知っただけでも。
人に愛されることを知っただけでも。
愛する女の未来を、守ってやることができただけでも・・。