国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
パタン、とどこかから音がした。
窓が閉まったような音だ。
風で閉まったか?
マルスは確かめることはしなかった。
と、自分のすぐ脇に人の気配を感じる。
そうか、やはり兵士が自分の首を取りに来たか。
マルスは自分の運命を悟って、そのまま眠ったふりをきめこんだ。
俺の命で、兵が助かるなら、それもいい。
生きた意味があるではないか。
マルスは、身じろぎもせずに、待っていたが、いつまで待っても、兵士は剣を降りおろそうとしない。
・・どうした?やはり怖気づいたか?
人の動く気配を感じ、今度こそ、とマルスは天に祈った。
が、剣の替わりに降ってきたのは、暖かい毛布だった。
驚いたマルスが、目を開けようとした瞬間、
美しい、鈴の音を思わせる、心地よい声音が、彼の耳に届いた。
「お風邪を召しますよ、マルス様」