国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
「私は、ウェスタの神に仕える巫女です」
やわらかい微笑の中にも、芯の通った、まっすぐなレアの声。
マルスは、レアが何を言い出すのかわからず、それはそうだが、と言いよどんだ。
マルスの言葉が終わらないうちに、レアは言葉をつむぐ。
「私は、神に仕える巫女。つまり、神の妻です。そうでしょう?」
レアの言葉に、マルスは、何かを思い出しかけた。
この台詞。前に一度聞いたことがある・・・。
「そして、マルス様は、ウェスタの王。
王は神の子であり代理人。神の化身です。
ということは、私はマルス様の妻、ということになります」
マルスは、ハッとした。
そうだ。口付けを交わした事を悩んでいたレアに、自分が言った台詞そのままだ。
あの時は、すばらしい考えが浮かんだと思ったものだが。
「馬鹿な!!」
マルスは、勢いよく立ち上がった。
傍に置いてある手燭の炎が、その風圧で、一瞬、揺らいだ。
まるで、マルスの心のように。