国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
王宮中が、しんと静まり返って、夜の闇にのまれている頃、
闇を恐れることすら知らない二人の親子は、浴びるほど大量の酒を、喉に流し込んで、
まもなく成功するであろう、目論見についての、前祝いをあげていた。
「お父様、もうそろそろ止めた方がよろしいのでは?
明日は、この国の運命を替える、大事な日なのでしょう?」
妖艶な目つきで、娘は父に流し目を送る。
「なぁに、これくらい大丈夫だ。ちゃあんと根回しは済んでいるからな。
あとは、民衆に王を排除させ、王代行ということで、私が政を一手に担うことになるさ」
わっはっはっは、という卑しい笑い声が、部屋から漏れて廊下まで響いている。
まったく我ながら、なんと見事な策だろう。
邪魔なレアを排除して、なおかつ王も自分の操り人形とする。
まったくいい具合に、飢饉になったものだ。
天も自分の味方をしているようだ。
男は、充血した目で、もう何杯目になるかわからない杯を、傾けた。