国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
「ランド将軍が、お父様の命令で、民衆に暴動を起こさせたのはいいとして、
マルス様をどうするおつもりなのですか?
私、王妃になりたいのに」
娘の甘えるようなつぶやきに、
男は、心配するな、と厚い肉のついた腹を、ぽんと叩いた。
「王には、しばらく軟禁生活を楽しんでもらう。
そこでゆっくり、お前を王妃にするよう言ってやるさ」
「本当?」
「心配するな、シギネア。私が万事うまく進めてやるさ。
お前の花嫁衣裳は、国一番の立派なものにしてやるぞ。
楽しみにしていなさい」
「お父様、大好き!!」
言いながら、彼女は自分の父親に抱きついて、頬に口付けを落とした。
男は、わっはっはっは、と、上機嫌で笑っていたが、
ふと、隣にいる娘が、おかしな顔をして自分を見ているのに気付いた。
いや、正確には、自分の後ろを・・。
「よっ!久しぶり。アニウス義兄さん!」
「お、お父様!!!」
自分の首元に、固く冷たいものが当てられているのを感じて、アニウスは、杯をすべり落とした。