国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
母娘の会話を聞いていただけのラウススは、ディスコルディアの使った、
“奴隷女”という単語に反応した。
「奴隷女って・・・レアのこと、ですか?」
初めて口をきいたディスコルディアに、ラウススは冷たい視線を浴びせた。
「当たり前でしょ!あんた、あの女の兄なんですって?
神殿に忍び込んで、ウェスタの巫女と通じるなんて、最低だわ。
あんたも、あの女も、獣以下よ!」
ニュクスが娘を叱り飛ばす前に、パチン、と大きな音が響いた。
「なっ!!」
ディスコルディアは、一瞬、何が起こったかわからず、呆然と大きな瞳を見開いた。
頬が、熱い。
「な、何するのよぉ!!」
ディスコルディアは、じんじんと痛み始めた頬に手を当てて、涙目になった。
父も、母も、自分を叩いたことなどない。
もちろん、それ以外の誰も。
初めて叩かれた相手が、肉親でもない上に、大嫌いな恋敵の兄だなんて。