国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

さっきまで、お高くとまっていた少女が、目の前で、わぁわぁと泣きじゃくっている。

ラウススは、自然に、ぷっと吹き出した。


「何がおかしいのよ!!」


ディスコルディアが、涙目で懸命に自分を睨み付けてくる。


「いや、かわいいなって思って」


それは、ラウススの本音だった。強がる彼女が、やけに小さく見える。


「なっ!」


抗議の声を上げようとして、ディスコルディアは失敗した。

ラウススは、彼女の傍まで来ると、手ぬぐいを取り出した。


「ほら、涙を拭いて。鼻もかむんだ。このままじゃ、どこが美人かわからないよ」


「なんですって!わ、私を誰だと!」


「わかってるよ。王女様だろ?ほら」


ラウススは、笑いながら、ディスコルディアの涙を拭い始めた。

手のかかる妹が一人増えたみたいだ。


ラウススの優しい微笑みに、ディスコルディアの心臓がとくんと跳ねた。


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