国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
出口もやはり、井戸だった。
街のはずれにあるが、万一誰かに見られないとも限らない。
雨で薄暗いが、念のため、外へ出るのは夜まで待つことにした。
マリカもロカも、そしてレアも。誰一人追いかけてはこない。
やがて、夕闇が濃くなってきた頃、二人を出口に待たせたまま、
ニュクスは少し様子を見てくるわと言って、一人井戸の外へと出て行ってしまった。
自分の方がいいというラウススの申し出を、ニュクスは聞き入れなかった。
どうしても、自分の目で街の様子を見たかった。
仕方なく、残された2人は、腰をおろし、体を休めた。
「ごめんね。痛かったよね。君の気持ちも考えずに、悪かった」
ディスコルディアが右頬を押さえているのに気付いて、ラウススは、やりすぎたと思った。
彼女だって、そんなに悪人ではないはずだ。ただちょっと、言葉が過ぎただけ。
しかも、こんな混乱した状況じゃ、無理もない。
隣に座ったラウススとの近い距離が、ディスコルディアは、それほど嫌ではなかった。
「ふん、私の気持ちなんて、わかるもんですか!」
「わかるよ」
ラウススのつぶやきに、ディスコルディアは、唇を尖らせた。
ちょっと涙を見せたら、つけあがって。私の苦しい気持ちが誰にもわかるはずないのに!