国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
笑わないでくれよ、と言いながら、ラウススは語り始めた。
小さい頃から、自分は妹をお嫁さんにするのだと、決めていたこと。
自分に甘える妹が、かわいくて仕方なかったこと。
仕事で家を空けている間に、奴隷として売られたと知ったとき、死にたくなったこと。
そして、再会したとき、美しく成長した彼女を見て、
このまま奪って逃げたいと思ったこと。
「だからね、
だから、君が僕を獣扱いしたのは、あながち間違いじゃないのさ」
ラウススは、どこか遠い目をして、そうつぶやいた。
「相手の男が憎くて、殺してやろうと思ったけど」
まさか、王だったなんてね、とラウススは、屈託なく笑う。
「どうして、そんな風に笑っていられるの?好きなんでしょう?」
「もちろんさ!大好きだから、笑うんだよ。嫌いじゃないから、離れるのさ。
それが、彼女の願いだから。自分のせいで僕が泣いたら、彼女が辛い思いをする。
君は違うの?」
「わ、私は!」
ディスコルディアの声をさえぎるように、井戸の上からニュクスの声が降ってきた。
「大変よ!レアさんがっ!」