国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
ウェスタ神殿の中では、巫女見習いも一緒になって、食料の配布や病人の世話が行われていた。
毛布が足りず、人々は身を寄せ合って、なんとか暖を取る。
「ウルウ様、本当にレアの怪我は、大丈夫だったのですか?」
「心配いりません。出血はあったけど、命に関わるようなものではないし。
それよりも、サラ。あなた、レアから、何か聞いていますか?」
ウルウの探るような瞳が、サラを覗きこむ。
「何をですか?」
「いえ。何も言われてないなら、かまいません」
サラは、ウルウの言いたいことが飲み込めなかったが、胸中を不吉な影がよぎった。
・・もうこれ以上悪いことなんて、起きようがないわよね、レア?
危うく、国が崩壊するところだったのだ。あとは。
浮上するだけ。
咳き込んだ声が聞こえて、サラは、病人のもとへと急いだ。