国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
手早くつり梯子を下ろすと、体重をかけて、強度の確認をする。
「よし。んじゃま、行きますか」
男の言葉に、女は決意を込めた瞳で頷いた。
「俺が先に行くから、合図したら、降りて来い。
下は見るな。ゆっくりでいいから、滑り落ちないように気をつけろよ」
「はい。
あ、あの!」
「なんだ?」
「ロカさんは、いいのですか?ここに残らなくて。
私についてきたら、苦労するだけですよ」
ん~、とロカは、無精ひげをなでながら、空を見上げた。
「ま、いいんじゃね?
俺もあんたと一緒で、ここにいると、あいつの邪魔になるんだ。
そういう運命なのかもな」
運命、という言葉に、女はどきりとした。
もしも、これが運命と言うならば、自分たちは、最初から離れるためだけに出会ったのだろうか。
・・いいえ、違うわ。
女は、天上を見上げた。
いまだ、雲が大勢を占める広い空で、月を隠した雲だけが、煌々と輝いて見える。
・・出会わなければ、こんな風に沢山の事を学ぶことはなかった。
生きることにも、巫女であることにも、何の疑問も抱かず、
ただ毎日を、自分のためだけに生きていくしか・・。
ロカの体が、井戸の底につくと、降りてくるように、促された。