国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
家の中は、植物であふれ、たくさんの小鉢のようなものが並んでいる。
人の住む広さよりも、薬草を置いてある広さの方が、大きいに違いない。
申し訳程度に、置かれた日用品は、どれも使い古されて年季が入っている。
その隅に、腰まである、黒い艶やかな髪を持った女が、真剣な表情で座っていた。
大きな碧の瞳で、目の前に並べた薬草を、吟味している。
「母さん!患者さんだよ!」
その声に手をとめた女--母さん、と呼ばれたのは、かつてウェスタの巫女であった、レアその人だった。
「ナナス。
扉はもっと優しく扱いなさいと、いつも言ってるでしょう?」
少年の無作法な態度に、レアは、透き通るような声でたしなめた。
10になる息子がいるとは思えない、昔と寸分変わらぬ美しさで。
「ごめんなさい!それより、急いで!大変なんだって!」
息子、ナナスの連れてきた男は、蒼白で、自分の妻の窮状を訴えた。
男の話を聞くと、レアはすぐに、馬を頼んで、彼の家へと向かった。