国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

なおも、妻を責め立てようとする男をさえぎって、レアは、質問を浴びせた。


「どんなときに痛みましたか?」


「どんなって。ええと、海に潜って、貝を採った後なんかになりましたね。

あとは、父ちゃんの網を修繕して運んだりするときとか」


「どうすれば治まったんです?」


「何もせずに。じっとしてれば良くなりましたよ。

それに、痛みと言っても、違和感って言う方がぴったりな感じで。

まさか、こんなに辛くなるなんて」


レアが頷くと、女は、恐る恐るといった風に、口を開いた。


「私・・・もうだめなんでしょうか?」


女の言葉に、夫も子供も息を詰めて、レアの顔を穴が開くほど見つめている。


「大丈夫ですよ」


レアは、にっこりと笑うと、持ってきたかごの中から、いくつかの粉末を取り出した。


「これは、シリンと言って、心臓の病に効果のある薬草を、粉にしたものです。

これを、朝と夜に、飲むようにしてください。

それから、しばらくは、重労働は禁止です。

重いものを持ったりしないように。もちろん、海に潜ったりしてはいけませんよ」


レアの心からの笑顔に、周囲の張り詰めた緊張感が、一気に和らいだ。


「ありがとうございます!!」


男の目じりから、ほろりとこぼれた涙を見て、子供たちが母親に抱きついた。









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