国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

レアのためなら命もおしくないマルスにとって、たった一つの条件をのむことくらい、造作もないように思えたが。


「もはや一児の父なのですから、その子供っぽいところを、何とかしてくださいませ」


まさか、自分の性格について注意を受けるとは、予想もしていない。

すぐに反論に出た。


「うるさい!これは、性格だ。お前は、こういう俺に惚れたんだろう」


「まぁ!確かいつかは、成長して見せるとおっしゃってたのに」


開き直ったマルスの態度に、レアは、ふふ、と子供を見守るようなやさしい笑顔を浮かべる。


「そのおしゃべりな口を、どうやって塞いでやろうか」


マルスの人差し指が、レアのほっそりとした顎をひっかけるように上向かせると、

その言葉とともに、彼の唇が包むように降ってきて、レアは自然に瞳を閉じた。


「レア。

愛している」


レアは、ゆっくりと瞼をあげた。長いまつげは、涙で濡れて、キラキラと光っている。


「幸せすぎて、こわい・・・」


「なら、俺にしがみついていればいい」


マルスの腕の中で、再び涙があふれたレアの黒髪を、今宵の月が美しく照らし出した。






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