国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

ぴたりと重なり合った影から少しの距離を隔てて、月明かりに照らされるナナスの姿があった。

その瞳は、背後からロカの大きな掌に覆い隠されて、視線をさえぎられている。


「ねぇ。なんで見ちゃだめなの?お父様とお母様なのに」


「あのな。子供には、まだ早すぎるんだよ!」


「どうして?」


無垢なナナスの質問に、ロカは、片方の眉を吊り上げた。


「お前、母さんが好きだろ?」


「うん」


「いつか、母さんよりも好きな女が出来る時が来る。したら、そん時は、見てもいいんだ」


「ふ~ん?」



・・ま、子供には、ちと難しかったかな。



ナナスの納得いかなそうな返答を聞いて、ロカが頭をかきながら、次の台詞を思案していたとき。


「ねぇ、ロカおじさんは、おばさん--おばあさまに、ちゃんと好きって伝えてあげたの?」





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