国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

突然の鋭い突っ込みに、ロカは、げほっ、と咳き込んでしまった。


「何言ってる!」


「だって、男は女を守るんでしょ?

おばあ様は、きっとロカおじさんに、ちゃんと好きって言ってほしいんだよ?」


何の裏もない、ナナスの無邪気な声。


「そうだな。ちょっと考えてみるか」



・・まったく、参ったな。何もわからない子供だと思っていたら。



ロカは、空を眺めた。月と星と、少しの雲と。

明日になれば、また陽が昇るのだろう。

太古からの、営みどおりに。



・・ヴェローナ。そろそろあいつを幸せにしてやっても、いいか?



ロカの問いを、肯定するように星がきらきらと瞬いた。







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