国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
夕方から降り続いた雨は、やむどころかますます強くなり、
今にも朽ち果てそうな一軒の家の屋根をうちつけていた。
それは、家と呼ぶにはあまりに粗末で、この風雨をしのげるのかさえ、
運に委ねているといっても過言ではなかった。
うっすらと漏れる明かりから、住人がいることがかろうじてわかる。
その小屋の中は、酒の匂いで充満し、その匂いの元であろう男の前に跪いて、
女は泣きながら懇願した。
「あなた、どうか、考え直してください!」
女の声に舌打ちをして、男は酒瓶の中の酒を飲み干した。
「うるさい!
お前は、俺に牢へつながれろってぇのか!」
男は、千鳥足で女に近づくと、片手に持った酒瓶を振り下ろす。
女の悲鳴と、酒瓶の割れる音が響いたが、雨の音にかき消されてしまった。
・・あぁ、かわいそうなレア。
女は、自分の娘の悲惨な運命を嘆きながらも、その運命を自分から切り開くほどの勇気を持ち合わせていなかった。