国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
見つかり、公になれば、当然厳しい罰が下される。
だがそれは、あくまで“見つかる”というのが前提だ。
女だけの完全な縦社会で、自分より上位の者の秘密は、当然のように隠すことになる。
自分より下位の者の秘密なら暴いてもよさそうなものだが、
責任者も追及されるうえ、今度は自分が標的になると困るので、やはり内密にするのが普通だった。
かくして、処罰されるのは、あくまでごく一部の者の話で、
たいていは、ウェスタの巫女同士の勢力争いで、相手を追い落としたいときなどに、
密告という手段で明らかにされることが多かった。
しかも、それらは多分に政治的な意味あいを含んでおり、
それ以外の男女の睦事は、見てみぬふりをするのが神殿での常識であった。
・・なんと無垢な娘だ。
自分にさえ色目を使ってくる大勢の神官たちを見てきたマルスには、
レアの純真さが、大きな存在感をもってうつった。