国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

涙をすする音の後に、レアは、はっきりと答えた。


「私は、ウェスタの神に仕える巫女です」


その通りだ、とマルスは自分の予想通りのレアの返事に微笑んだ。


「お前は神に仕えるもの。つまり、神の妻だ。そうだろう?」


レアは、こくんと頷いた。


「だから、悩む必要などない。

この俺は、ウェスタの王。王は神の子であり代理人。つまりは神の化身だ。

その俺と契りを交わしたところで、それは咎められるどころか、むしろ当然の話だ」


マルスは、レアの瞳に、かすかに光が灯ったような気がした。


王が神の子であるというのは、ウェスタ創世記に出てくる語りで、

初代の王シルウィクは神官長のシルウィアと神の間にできた子供とされていた。

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