ピンクの恋路

私がそう言うと、先輩は悲しそうな表情になった。


あぁ… そうか。別れ話だ。



なんとなくそう思って、それから私は何もしゃベらなかった。



「…ケンカ、悪かった。いつも俺が悪くてさ」


え??


別れ話じゃないの??



「ううん… 私も悪かったよ」



一瞬心の中に嬉しさが呼び戻った。



そんな嬉しさも束の間…



「別れて欲しい…」



やっぱり…。 私の心はまた、いっきに悲しくなった。


「 …うん」


素直に私は返事をした。


「ゴメンな。あんま良い思い出作ってやれんで」


「私こそ… 初めてだったんだぁ。彼氏」



「 …え?」



「先輩が初めてだったの」



私は屋上のフェンスにもたれかかった。



「そうなんや… だったら余計悪かったな。初カレがこんなんで」


先輩はまた悲しそうな顔をした。




< 3 / 19 >

この作品をシェア

pagetop