魔女と魔獣
家に帰ると
両親と祖母が神妙な顔付きで
話し合っていた。


「ただいま・・・
どうしたの?」


「おかえり。」
母は暗い顔で立ちあがる。


「こんなのが出来たら
うちは店たたむしかないよ。」
祖母の声が震えた。



「どうしたの?
ばあちゃん・・・」


机の上のパンフレットを見た。



 焼き肉 オガッチャーラ


「ふざけた名前だけど?」


父が溜息をついて


「においが一瞬で吸い込まれるんだと。
だから、洋服も気にせず
会社の昼休みでも
気軽に食べられる。
ジンギスカンだけじゃなくて
いろんな肉が豊富にあって
果物や寿司なんかも
あるらしい・・・・・
まだ、計画段階だけどな。」


「ジンギスカンはこの鍋で食べて
このにおいも一緒に楽しむから
美味いんだよ。
それを否定されたら
うちの店はかなりの打撃だろうさ。
それもなんで、向いに建つんだか…」


「向かい?」

母がその空き地を眺めている。


「なんかできるとは
思ってたけどまさか同業者とは。」


「嫌がらせだよね。」

私は腹が立って仕方なかった。
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