魔女と魔獣
「マーくんを縛りつけておくまで
私は生きなければいけない。
それがあの人との約束。
でも最近自信がなくて……
痛みが襲えば
死にたいと強く願ってしまう。
だめな女でしょう?
あの人が悲しい役を演じているのに
死にたいなんて思って。
でも……
もうすぐ終わってしまう気がする。
マーくんに
私が何か会ったら今の話
伝えてほしいの。」

そういうと母親は私の手を
握りしめた。


「心を閉ざしたあの子が
素直になれる場所なんでしょ?
あなたの存在が・・・・
ごめんなさい。
こんなことをお願いして。
神さまに感謝しなきゃ。
あなたに会わせてもらって
こんなにしっかりと言葉を言えた。
いつも思ってても出てこないのに
何故かしら・・・・

私が死んだら
素直に父を受け入れて
父が今必死にひいたレールの上を
歩いてちょうだい
それが母の願だって・・・・


おねがいします・・・・」


母親の見つめる瞳に
私はうなづいた。
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