魔女と魔獣
ベットに突っ伏して
とにかく泣いた。


桃子に戻れない

そう思う気持ちは
なかった。


真重を失うのだけは
どうしても耐えられなかった。

ひとりぼっちの真重。
私と出会って
家族の事情で
一人十字架を背負った
真重がかわいそうで仕方なかった。



背中が重くなった。


「あなた、泣いててもだめよ。」


「だって…マリリン……」


マリリンが私の背中に乗っていた。


「ダーリンから真重の居場所
聞いてきたから
これからそこに飛ばすわよ。
あなたたちが別れては困るのよ。
記憶の部品は発送段階に
来てるらしいけど
間に合うかしら。
真重はホテルに住んでるわ。」


「記憶の部品が治ったら
真重は混乱しないかしら。」


「そこなのよ。
なんて言ったって
ギリギリなのよ。
真重がいろんなことを受け入れるまで
時間がかかるじゃない。
どうにかしないと……
少し荒い手を使わないことには
もう手を出せなくなる。
頼むわよ。」


そう言って
マリリンの呪文がどんどん
大きくなって
消えた・・・
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