魔女と魔獣
「私が勝ってやる。
マジュを一人にしないから。
お母さんのこと…聞いたよ。」

真重の体が震えた。



「ひとりぼっちじゃないよ。
私がいるよ・・・・
寂しい時はこうして
抱きしめあえばいいよ。
簡単なことよ。
二人が離れなければ・・・・」


私は真重の震える背中を抱き締めた。



「会えない時間も
ずっとずっと考えた。
何が俺らにとって正解なのか・・・・
おまえが家族が大事なように
俺にもたった一人に
家族は絶対だから・・・・
かあさんの言うとおりに
生きていけばいいのか・・・
帰ってきたらすぐ会いに行こうと
思ってたけど・・・
ごめん・・・・」


「知ってるよ。
おかあさんから聞いたよ。
マジュも聞けた?
マジュに話してあげてって言われてたけど
それは私にとっては
とても心配なこと
あなたの進む道を左右するから。」


「聞いたよ。
父さんからも聞いた。
あのふたりやっと会えたんだ。
かあさんの約束通り
父さんは我慢してきたって…
そんな愛の形があるって知った。」



「そう・・・」


真実を知ってしまえば
なおのこと
真重は縛られてしまうだろう……
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