魔女と魔獣
元哉にまた抱きしめられる。


私の顎を上に向けて


「おまえの涙星の滴みたいだ。」
そう言って

涙に口づけした。


「やめて・・・
元哉・・・・今はまだ
マジュの代わりにしかならないわ。」

抵抗する。


 それだけはだめ
 この人は翔のパパなんだ


「わかったよ。
今はあきらめる・・・・
でも・・・おまえを絶対手に入れる。」



「元哉…ごめん…
私はマジュに会うために
マジュと生きるためにここにいるの。
私とマジュは運命なんだもん。」



 ごめんね
 ごめんね


その温かい胸に溶けてしまえば
すべて終わってしまう。
必死ではねのけて
家に逃げ帰る。


マリリンが溜息をついた。


「思わせぶりなことするからよ。
あなたも実は揺れているんでしょう?」


マリリンの言葉は図星だった。



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