魔女と魔獣
手首には多数の切り傷があった。

「これって?」


「俺さ、ここに傷つける
病気なんだ。」


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「あん時こそ死のうと思ってたけど
やっぱだめだった。
情けないだろ。おまえにあんなことして
結局全部を奪えなかった。
もうずっとこんな人生に
うんざりしてたんだ。
誰からも愛されない・・・・
こんな人生なんてもういらないってさ。」



手首の傷は もう悲惨なくらい
あっちこっちに
傷がひかれていた。



「俺さ、留学するよ。
魔獣がけったとこ、とうさんが
チャレンジしてみるかって
言ってくれたんだ。」



「よかったじゃん。」


「おまえがとうさんに言ってくれた
ありがとう、ひどい目に合わせたのに。」



「許してなんかいないよ。
でもよかった。
あんたもマジュも不幸な
思い出しかないんだね。」


「ごめんな。ほんとひどいことして」


「わかったよ。
もういいよ・・・・
最後は残してくれてありがとうって
へんなお礼してるけど。」



和重は地面に土下座した。
鼻をこするように
地面にすりつけた。。


「もういいよ。
頑張って、あなたもチャレンジャーね。」


私は和重に手を差し出した。


「サンキューおまえのこと忘れないよ。」


握手した。





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