ないものねだり
「どぉぞ。」
そんな私たちのテーブルに、かわいらしい白いカップに入った、ホットコーヒーが二つ、静かに置かれた。
「え?」
私は思わず声を出した。
「ん?飲んでいいよ?タダだから。」
「は?」
「俺と君はタダ。」
「は?」
「ココ、ウチの系列だから。他にも色々あるよ。フレンチの店とか。」
「は?」
「今度連れてってあげようか。」
「いや。いい。」
「あはははは。
はっきりしてるねぇ。おごるよ?マジで援助しようか!」
「いや、いい。」
豪快に笑う主任に、目立ちたくないからアホな話はいいから、静かにしてくれないかと、
少し不機嫌な顔で、引きつり笑いを返した。
(どぉーりで注文もしてないのにコーヒーが勝手に出てくるわけだ…)
「さ。で、本題。」