さっちゃん
「あーつーいーっ!!」
私は、メニューをうちわ代わりにして、パタパタと扇いだ。
「茜【アカネ】、うるさーい…」
私は、永原 茜【ナガハラ アカネ】。
中二。
現在、夏休み中。
私の前に座っているのは、山本 奏【ヤマモト カナ】。
同じ、中二。
カフェの一番奥の、クーラーがよく効いている席に私達は、向かい合って座っている。
さっきまで、外を歩いていたから汗でビッショリ…。
「奏、何する?」
奏は、水を一口飲んで言った。
「ミックスベリーパフェ」
「またぁっ?」
「だって、好きだもん♪」
奏は、見た目はクールなのに、かなりの甘党。
「みっちゃーんっ!」
私は、片手を上げて品物を運んでいる男を読んだ。
「“みっちゃん”ゆーなっ!」
ふてくされながら、私達の方に歩いてきたこの男。
永原 南【ナガハラ ミナミ】。
私より、五歳、年上の従兄弟。
ここの、カフェの店長。
「みっちゃん、私、プリンパフェー」
「みっちゃん、ミックスベリーパフェー」
私と奏は、みっちゃんの言い分を無視して注文した。
「おまえら…っ」