さっちゃん


南は、沸々と沸き上がる怒りを抑えながら、伝票にスラスラとペンを走らせた。


「少々お待ちくださいっ!」


南は、精一杯の笑顔を作って厨房の方に消えていった。


「ぷっ」


私は、ついに吹き出してしまった。


「みっちゃん、おもろーっ」


厨房の中で、定員に八つ当たりしている南を見ながら、私は笑った。


「まーぁた、みっちゃんからかって…」


奏は、頬杖をついてため息をついた。


「だって、みっちゃんだもん」


「意味分かんないし…」


奏は、再びため息をついて、茜を見た。


「好きなくせに…」


私は、奏のその言葉をきくなり奏の口に手を当てた。


「しーっ!!」


そう。


私は、南が好き。


だから、毎日のようにこのカフェに来てる。


私は、奏の口から手をはずしてソファに座った。


「あーあーぁ、何であんな奴好きになったのかなぁ」


私が呟いたとき、みっちゃんがおぼんに品物を乗せて持ってきた。


「おまたせー」


南は、品物を私と奏の前に置いた。


「ありがとーっ、みっちゃん!」


「だから、“みっちゃん”ゆーな!!」


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