アルバム
恭一は黙ったままだった。視線もあわそうとしない。私は気になって気になってしかたがなかった。




「はあー」




恭一は突然大きな溜息を、私は驚いた





「あっ!ごめんなさい。僕、ついつい緊張してしまって。あなたが近くにいるからかな。何を話せばいいのかわからなくなってしまって」





優しい笑顔だった。耳まで真っ赤だった。あの告白を思い出した




「やっぱり、僕。あなたのこと諦めきれません。だって何ヶ月もあなたのことを思い続けていたから。名前も知らない。ただ一度だけあっただけなのに。ずっとあなたのことを思い続けていました」





私は、恭一の一途さに思わずその気になってしまいそうだった。恭一は黙ったまま、少々辛そうだった。しかし何か決心したようで




「わかりました。今は諦めます。けど、気持ちはかわりません。あなたがふりむいてくれるまで、何年も待ちます。これでも辛抱強いので」
< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop