メランコリック症候群
「別に、すごくも何ともない。俺をメランコリック症候群にしてる原因と、こんな事知ってる原因は同じなんですよ」

そう、どれもこれも全部。俺が、宿命に逆らえないから。親に言われて医療の専門書なんか読むから。理想像の俺が、頭に入れろと命令するから。

「……そう。じゃあ、私の診断は間違ってないんだね?」

屋上を去ろうとドアノブに手を伸ばした俺に彼女はそう言って、俺の学ランの裾を掴んだ。

「何なんですか……」

イライラ、イライラ。

早く、1秒でも早くここから去りたい。

離せ!


「その原因のせいで、こんなにも優秀なキミは授業をサボりたくなったり、自分を否定してもらいたくなったり、色んな症状が出て来ちゃうんでしょう?憂鬱な気持ちは知らない間に滲み出て、周りも暗くするものだし」

だからなんだ。

仮に、俺がその『メランコリック症候群』とやらに発病や感染しているとして、俺に治る見込みはあるのか?


< 10 / 123 >

この作品をシェア

pagetop