メランコリック症候群
それからは真面目に授業を受けた俺は、教室で帰る準備をしていた。部活を引退してからは特に学校に残っていてもする事もないので、毎日早く帰るようにしている。家も近所の宏と毎日登下校を共にしているが、最近はあのうるさくて厄介な人物に会わないように急いで帰っている。

毎日毎日アイツは決まった時間に襲来してくる。何が楽しいのか飽きもせずに毎日同じ理由で。

やばい。早く逃げないとあの時計が35分を指したら……

「やっほー!たっかはっしくーん!」

ほら来た。
騒音並に音を立ててドアが開くと、元気すぎる笑顔とやたらと明るい高い声の持ち主がひょっこりと顔を覗かせた。

……今日も逃げられなかったな。これで何日目だ?もう1週間連続じゃないだろうか。

「美月。お前はうちの教室のドアぶち壊すつもり?」

「え~?まっさかぁ。私か弱いからそ~んな力ないもんね~」

苦笑いを向けて軽く溜め息をついても、ヘラヘラと笑ったままで美月は近付いて来た。


< 17 / 123 >

この作品をシェア

pagetop