メランコリック症候群
「へぇ~!本当に?すごい!」

カウンセラーは目をキラキラ輝かせて感心したように俺を見つめてくる。

怒らないのか?

何だか、拍子抜けした。

「ねぇ、ピッキングってどうやるの?」

「どうやるのって……。そんな事より、何で怒らないんですか。」

「怒るって、何を?」

首を傾げて笑う彼女に何故かイライラした。眠りを妨げられたからだろうか、それとも、この青空のように俺の目に痛いほどの笑顔を見せるからだろうか。

早く、どこかに行って欲しい。

「俺、授業サボったんですよ。立ち入り禁止の屋上にピッキングして入って」

「そうなんだ?」

イライラする。笑うな。俺を見るな。

「何で怒らないんですか。先生なんでしょ?」

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