メランコリック症候群
第二章

陽炎、陽炎、アスファルト

終業式の日には、全部の教科を総復習するぞなんて意気込んで臨んだ夏休み。結局、何も出来ないまま折り返し地点を通過してしまった。

世間一般に言う進学校な上に進学クラスのため、夏休みなんて名ばかりで、毎日毎日補習漬けにあっていた。下手すると、普通に学校のある日の方が楽なのではないかと思うほどだ。

休みには入ってからは白石も出勤時間を遅らせたから、花の水やりを口実に毎朝行っていたカウンセリング室には、宏と美月と三人で昼食を食べに行くようになった。白石も自前の弁当を広げて俺達との昼食を楽しんでいる。

今日は3週間ぶりの、そして最初で最後の1日中休みの日。本当は、家でゆっくりと休むなり勉強をするなりして過ごしたかったのだが、予定が入ってしまい学校へ行かないといけなくなった。……その予定というのが、家でゴロゴロするよりは遥かに魅力的なものだった為、誘いを断ることができなかったのだ。

英語の過去のセンター試験の分厚い問題集と、物理の難易度が高めのおさがりの参考書、ノートや筆記用具云々だけをリュックに詰めて家を出る。肩にかかる重みがいつもより随分と少なくて、変な感じがした。
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