メランコリック症候群
「……は?」

思いもよらなかった質問に俺は眉間に皺が寄るのがわかった。

「私は屋上好きだよ。毎日風に当たりに来るんだ。キミは?」

「……別に、サボりに来てるだけで、好きとか考えたことないです」

好きか嫌いかと言われればもちろん好きだが。

「ふ~ん。でもまぁ、サボりに来るんだから嫌いじゃないんだよね。…ねぇキミは、しょっちゅう授業サボってるわけ?」

彼女はフェンスから手を外し、俺の隣に腰を下ろした。雲が太陽を遮って、ほんの少し視界が暗くなる。

「さぁ。毎日1回はサボってますけど」

しかも、単位を落とさないようにどの教科も平等にだ。教師はそんな俺に呆れるどころか、器用だといって笑う。そんな姿にさえ、俺の神経は逆なでをされ、いちいち腹が立った。

「毎日、屋上で?」

「大体は」

なんで早く何処かへ行ってくれないんだ。出ていくタイミングを見つけられないで、俺は壁にもたれて座り込んだままでいるしかなかった。


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