メランコリック症候群
注文するわけでもないだろうにメニューのデザートの欄を幸せそうに眺めながら、彼女は話しかけてきた。
「高橋 正臣っていいます。年は、同い年みたいですね。今年で25なんで」
『正臣』という名前が俺の口から出た途端に驚いたようにメニューから顔を上げて、間の抜けたような表情で見つめられた。……そのアホみたいな半開きの口を何とかして欲しい。
「ひぇ~キミって正臣君の弟さんだったんだね!スッゴい偶然。正臣君と私ね、大学時代の友達なんだよ」
「そうだったんですか?」
「うんうん。……にしても、似てないのね。タイプが全然違う」
確かに似ていると言われたことは一度もない。俺は母親似で兄さんは父親似だからだろうか、顔も体格も全くもって似ていない。兄さんは健康的に日焼けしたスポーツマン的な容姿だし、俺は室内に居ることが多いからか色が白くて体質上細い。
唯一の共通点と言えば、うなじにある黒子だが、そんな事に彼女が気が付くわけもない。
「どちらかと言うと、俺は姉さんと似てます。兄さんみたいな容姿には、凄く憧れるんですけど一向に近付いてくれません」
「高橋 正臣っていいます。年は、同い年みたいですね。今年で25なんで」
『正臣』という名前が俺の口から出た途端に驚いたようにメニューから顔を上げて、間の抜けたような表情で見つめられた。……そのアホみたいな半開きの口を何とかして欲しい。
「ひぇ~キミって正臣君の弟さんだったんだね!スッゴい偶然。正臣君と私ね、大学時代の友達なんだよ」
「そうだったんですか?」
「うんうん。……にしても、似てないのね。タイプが全然違う」
確かに似ていると言われたことは一度もない。俺は母親似で兄さんは父親似だからだろうか、顔も体格も全くもって似ていない。兄さんは健康的に日焼けしたスポーツマン的な容姿だし、俺は室内に居ることが多いからか色が白くて体質上細い。
唯一の共通点と言えば、うなじにある黒子だが、そんな事に彼女が気が付くわけもない。
「どちらかと言うと、俺は姉さんと似てます。兄さんみたいな容姿には、凄く憧れるんですけど一向に近付いてくれません」