メランコリック症候群
「私が、高橋君を選んだんです。休日を一緒に過ごす人に」
彼女は笑う。出会った時のように、太陽そのものの笑顔で俺だけを照らし出す。真夏の空高く輝く太陽、肌をちりちりと焼くほどに熱いくせに、見てくれだけは爽やかな。
彼も、私の誘いに乗ってくれましたし。
俺から視線を外し、彼女は山下に微笑みかけた。
山下からちらりと驚いたような視線を向けられたが、俺からは何も言い出すことはできなかった。あんたも驚いてるだろうが、こっちだって十分予想外で驚いてるんだ。飛び跳ねすぎて口から出てきそうな心臓を無理やり押し込めて、平静を装うだけで俺のキャパは満杯なんだから。
口をへの字に曲げながら飲み干した生温いスチール缶を握り締める俺と、何も言えずに目をぱちくりさせている山下をそっちのけで、彼女は目の前の溶けかけたソフトクリームに夢中になっていた。
彼女は笑う。出会った時のように、太陽そのものの笑顔で俺だけを照らし出す。真夏の空高く輝く太陽、肌をちりちりと焼くほどに熱いくせに、見てくれだけは爽やかな。
彼も、私の誘いに乗ってくれましたし。
俺から視線を外し、彼女は山下に微笑みかけた。
山下からちらりと驚いたような視線を向けられたが、俺からは何も言い出すことはできなかった。あんたも驚いてるだろうが、こっちだって十分予想外で驚いてるんだ。飛び跳ねすぎて口から出てきそうな心臓を無理やり押し込めて、平静を装うだけで俺のキャパは満杯なんだから。
口をへの字に曲げながら飲み干した生温いスチール缶を握り締める俺と、何も言えずに目をぱちくりさせている山下をそっちのけで、彼女は目の前の溶けかけたソフトクリームに夢中になっていた。