花が運ぶ風
急に風が冷たく感じた。
「ねぇ、京くん。」
「ん?」
「あ、あのね…その、ね?」
「なんだよー。はっきり言え!」
「えっと…だから~…」
「言わないと…こうだし!」
そう言って私の脇腹をくすぐってきた京くん。
「無理!脇腹、弱いの知ってるでしょ!?」
「んじゃ、はっきり話すんだなー♪」
んー…。
聞いちゃってもいいかなぁ?
迷う自分がいる。
「あのっ京くんの家に遊びに行きたい!」
「…は?」
目をまんまるにする京くん。
「あ…なんか急に変なこと言って、ごめんね。」
「別にいいけど…。どした?なんかあった?」
「特に理由はないんだけど…
私、京くんの事なんにも知らないなーと思ってさ。」
「そういや俺、なんにも話してなかったな。
何から聞きたい?」
「んーと…じゃあ、まずは家族構成から!」
「俺と父親と弟。」
「お母さんは?」
そう聞くと京くんは上を向いて指さした。
「あそこ。」
「へ?」
「星になったんだ、母さん。」