花が運ぶ風
「…そ。星。」
星って…
亡くなっちゃったってこと?
「ごめん!私、全然知らなくて無神経なこと聞いちゃって!」
「いいんだ。俺の中ではもう吹っ切れてる。」
そう言った京くんの声はあまりにも悲しい声だった。
絶対嘘だよ、そんなの。
吹っ切れてたら、そんな悲しい声でない。
ていうか、吹っ切れてたらおかしいよ。
お母さん、亡くなったんだよね…?
「京くんは…お母さんの事嫌いだったの?」
「…なんで?」
「私だったら亡くなっても、大好きなお母さんとの思い出…忘れようとしない。
ずっと大切にとっておくよ?」
あ…
少し言い過ぎちゃったかな?
「ごめんなさい…。京くんの事情何も知らないくせに…。」
「俺、多分忘れようとしてたんだ、母さんの事。」
「え?」
「花になら話してもいいかな?俺の過去。」