花が運ぶ風


「驚かないのか?こんなこと聞いて。」


驚く?
なんで?


「京くんはそんなことしないよ。」

「……え?」

「続きを話して…?」



抱きしめる力を強めた。
京くんも同じように返してくれた。



「あの日も母さんと言い争いになったんだ、髪色の事で。」

「うん。」

「今思ったら、なんで染め直さなかったんだろとか
色々後悔してんだけどなぁ…。
そんときは何も考えれなくて。」

「…うん。」

「家、飛び出したんだ。」

「………」

「頭冷やそうとか軽い気持ちで、近くの公園行ってさ。」

「うん。」

「そろそろ帰ろうって思って横断歩道の信号ボーっと待ってた。
それで歩き出して…中間ぐらいにきたとき、誰かにおされて…」

「…うん。」

「気づいたら倒れてて。
横見たらさ…もう一人倒れてたんだ。」

「っ……」

「母さんだった。」





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